よしおのブログ

東北芸術工科大学企画構想学科OBOG会のひと・よしおが綴るアンオフィシャルな日報

エクセルこわくないよ講座(第2回:セルはシンプルに!)

だいぶ前に「エクセルこわくないよ講座」という記事の第1回を書いたものの、その後準備室業務が忙しくなり第2回に手を付けることなく今日に至ってしまいました。お恥ずかしい。

 

kikaku-junbi.hateblo.jp

 

というわけで今日は「第2回:セルはシンプルに!」のお話。

 

 

f:id:kikaku-junbi:20180804165726p:plain

例えば「夏休みラジオ体操出席記録表」を作り、COUNTIF関数を用いて出席回数を管理してみましょう。この表のCOUNTIF関数は「=COUNTIF(B2:F2,"参加")」という形で設定しています。

 

f:id:kikaku-junbi:20180804170203p:plain

(↑ちなみに今回はMicrosoft Office ExcelではなくApple Numbersで作成しているため表示が若干異なります。でも関数機能は基本的に同じように使うことができます)

 

f:id:kikaku-junbi:20180804170128p:plain

この場合ジェームス君の参加回数は正確に「4回」と集計されます。欠席は1回のみ。ところがこのCOUNTIF関数の設定を他の参加者にも適用してしまうと、参加回数が正しくカウントされていない人が2名生じてしまいます。リチャード君とチャールズ君です。

 

f:id:kikaku-junbi:20180804170454p:plain

リチャード君は5回のラジオ体操のうち、5回全てに参加しました。でも1度だけ遅刻してしまったためこの集計表に「遅刻」と記載されてしまいました。このCOUNTIF関数は遅刻の集計を考慮していないため、「参加」と記入されているセルのみ集計されてしまい、結果、出席回数は「4回」とされてしまいました。

 

さらにチャールズ君に至っては毎回遅刻はしたものの、一応すべての回に顔は出しています。加えて1回目はやむを得ない事情があって事前連絡をしたうえで遅刻しています。しかしリチャード君と同様にこのCOUNTIF関数は遅刻の集計を考慮していないため、「参加」と記入されているセルのみ集計されてしまい、結果、出席回数はなんと「0回」とされてしまいました。

 

今回の例題、仮に「無遅刻での参加のみを1回参加とカウントし、遅刻は欠席したものとみなす」という条件で実施しているラジオ体操なのであれば、この関数のままで全く問題ありません。ただし、もし「遅刻も参加としてカウントする。しかし遅刻したという記録は残す」という運用で集計していくならば、前述のチャールズ君とリチャード君の参加状況は正しく反映されているとは言えません。

 

そこで「遅刻も参加としてカウントする。しかし遅刻したという記録は残す」という条件で実施している場合にどのような改善策を採用できるのか、考えてみたいと思います。

 

改善策1:「欠席」の回数をカウントし、そこから「参加」の回数を計算する

参加回数をカウントするためのアイデアとして考えられる最もシンプルなものは「参加の回数を数える」というアイデアですが、「母数から欠席回数を差し引き、残りを参加とする」というアイデアもあります。

 

f:id:kikaku-junbi:20180804172040p:plain

f:id:kikaku-junbi:20180804172050p:plain

今回のラジオ体操は全5回実施されたため母数は5となります。そしてジェームス君の欠席回数を集計すると1になりましたので、「5-1」という小学校低学年レベルの計算式を指定すれば参加回数が導き出せます。

f:id:kikaku-junbi:20180804172455p:plain

 

これを遅刻が発生したチャールズ君とリチャード君の行にも当てはめると、「遅刻も参加としてカウント」という条件のもとできちんと参加回数が集計されます。

f:id:kikaku-junbi:20180804172356p:plain

 

改善策2:「遅刻」も回数をカウントして「参加」に合算する

とはいえ「遅刻」は印象がよくないので、きっと「一応、遅刻回数も集計しておこうぜ!」という話が出ることだってあるかもしれません。そういう場合は「参加」と「遅刻」をそれぞれ集計したうえで合算してみましょう。なお合算した回数は「参加とみなす回数」として別の列に集計します。

 

f:id:kikaku-junbi:20180804173420p:plain

この集計方法のポイントは「集計に関わるセルには集計に関わる要素のみ入力し、特記事項は備考欄に書く」ことです。

チャールズ君は8月1日のラジオ体操に遅刻しましたが、寝坊や怠惰が原因ではなく「どうしても定刻で参加することが難しい事情があったため、事前にその旨の連絡をしていた」としましょう。このとき気持ちは8月1日の欄に「事前連絡あり」と記入したくなるところですが、ここで設定しているCOUNTIF関数は「参加」「遅刻」「欠席」に完全に一致するセルしか集計しません。とはいえ特記事項を記録しなければならない場合は集計に関わるセルではなく、別途備考欄を設けてそこに事情を記入すれば集計に差し支えることもありません。

 

 

この記事でいちばん伝えたいことは

「集計に関わるセルには、集計に関わる要素のみ入力する」というシンプルなルールに則って表をつくりましょうということ。

エクセルは「計算機能がついた便利な方眼紙ソフト」ではなく「表計算ソフト」です。関数や条件を適当に設定し正しい要素を入力すれば、それだけで求めている計算結果が出てくるソフトです。その出てきた計算結果をマーケターやデータサイエンティストあるいは会計担当やCFOが分析して、さまざまな発見が得られるわけです。つまり「数字は正確に」が肝です。

 

今回の例題では「参加」「欠席」だけを集計すれば済む話で、「遅刻」を集計しないという方法もあったかもしれません。それだけで表はぐっとシンプルに、集計エラーがよく少なくなります。

 

 

また書きます。